望遠鏡を初めて買う、或いはお子さんに買ってあげる。
想像しただけでもワクワクしますね。
しかしいざ調べてみると、似たような望遠鏡でも価格はピンキリで、
どれを選べば良いのか全くわからないのではないでしょうか。
そこで、この道40年のテレ夫が考える、初めての望遠鏡に必要な3つの条件を記します。
土星の輪がしっかり見えること
初めての望遠鏡であれば、土星の輪が見えることは必要最低条件でしょう。
そのためには100倍以上の倍率が望ましく、それに耐える性能の対物レンズを
搭載していることが条件となります。
また、入ってくる光の量は対物レンズの口径(直径)で決まるので、
倍率が上がるほど像が暗くなります。100倍で土星を見るには、
口径は60mmは欲しいところです。
持ち出すのが億劫にならないこと
買ったばかりでテンションが高いうちは、多少大きくて重かったり
組み立てが面倒だったりしても頑張れますが、情熱が冷めてくると
勢い稼働率が下がり、やがてタンスの肥やしになることは想像に難くありません。
なるべく小型軽量で、かつ設置に手間が掛からないことも、機材選びの
大切なポイントです。この点から、対物レンズの口径は80mm程度までに
抑えておいた方が無難でしょう。
【参考】望遠鏡の倍率は次のように決まります。
倍率 = 対物レンズの焦点距離(mm) ÷ 接眼レンズの焦点距離(mm)
対物レンズの焦点距離は長いほど高倍率が出しやすく、光学設計上も余裕が
あるのですが、焦点距離が長いと望遠鏡が長くなり取り回しが悪くなるため、
最近は敬遠される傾向にあります。
逆に、対物レンズの焦点距離を短く、接眼レンズも焦点距離が短いものを
使おうとすると設計に無理が生じるため、特殊なガラス材を使用しなければならず
高価になりますが、こちらが現在では主流になっています。
星見以外でも役に立つこと
天体望遠鏡はその性格上、晴れた夜にしか稼働しません。
しかし、100倍に耐える高性能なレンズを日中眠らせておくのはとても勿体無いことです。
地上プリズムを組み込めばフィールドスコープとしてバードウォッチングに使えますし、
レデューサーやテレコンバーターなどの補正レンズを組み合わせればカメラレンズを凌ぐ
高性能な望遠レンズにもなります。
もちろんAFは効かないので動体には不利ですが、静止物であればミラーレス一眼の
MFアシスト機能で画像を拡大できるのでピント合わせは思ったより容易ですし、
カメラによってはボディ内手ブレ補正が使えます。
このような拡張性のあるシステムを持つ望遠鏡を選んでおくと、晴れた夜以外にも
使えて楽しみが倍増します。
まとめ
以上を踏まえ、オススメのスペックをまとめると、
- 対物レンズ口径60~80mm・焦点距離400~600mmくらい
- 対物レンズにフローライト(蛍石)やED・SDなどの高級素材を使用
- レデューサーやテレコンバーター(エクステンダー)がラインナップされている
となります。
具体的に製品を挙げると、国内ブランドでは次のようなものがあります。
- トミーテック(BORG) 71FL(口径71mm 焦点距離400mm)1.2kg
- 〃 77EDⅡCR(口径77mm 焦点距離510mm)2.7kg
- ビクセン SD81S(口径81mm 焦点距離625mm)2.3kg
- 高橋製作所 FS60Q(口径60mm 焦点距離600mm)1.6kg
- 〃 FC76DCU(口径76mm 焦点距離570mm)1.9kg
(注記:重さはファインダーの有無等、製品毎に条件が違うため単純比較はできません)
※上記のうちBORGの2機種は生産終了品のため新品の入手は困難と思います。CP+で後継機種の72FLが参考出品されたようなのでデビューが待たれます。
架台・三脚については別途記事にします。